零細企業の正社員を辞めて、派遣社員として大手企業で

私は特殊な業界で働いており、あまりに過酷な職場環境の為退職しました。応用の効く業界ではなかったため、パソコン教室に通い、オフィスソフトを習得し、就職活動を始めました。そして、訪問販売を専門とする呉服屋の正社員になり、事務員として働き始めました。

その呉服屋は、全社員数が20名程度の小規模な会社でした。事務員の私の給料は固定給で16万円。別に交通費完全全額支給。 そこから厚生年金や雇用保険、保険が引かれ、手取りは14万円台でした。ボーナスは年2回で、それぞれ1ヶ月分の給料程度の額。収入としては、かなり少ない方かもしれませんが、休みはきちんとあり、前職のように仕事に追われることもなく、最初は満足していました。

小さな会社はアットホームという大きな利点があります。同僚や上司も良い方ばかりで、少し癖のある人も中にはいましたが、平和に毎日仕事をしていました。だけど、アットホームと言う事は、毎日平凡という意味でもあります。 事務の仕事内容は変化があるものではありません。 せっかくパソコン教室で身につけたスキルも、大して使う機会もありません。 私は徐々に「もっと変化のある職場に行ってみたい」という贅沢な悩みを持つようになりました。

結局その会社を退職する決断をしました。 そして、派遣社員という道を選ぶことにしたのです。

登録したのは、大手派遣会社として最も有名なところでした。 私の職歴は非常に特殊で、職歴として魅力のあるものではありませんでしたが、 オフィスソフトを使いこなすことができ、タイピングも驚かれるほど早かったので、仕事の紹介をしてもらえることになりました。

派遣先は、誰もが知る大手IT企業です。 退職した会社は、下町にある小さなビルの中に事務所を構えていましたが、今度の職場は都会のど真ん中。 20階以上ある大きなビルで、入り口には自動改札のようなものがあり、入る際に必要なパスカードを渡されました。 私が働くフロアは、マーケティングを扱う部署です。 他の部署もたくさん入っており、1フロアに200人規模の人が働いていました。 仕事上、深くかかわるのは直属の上司とチームメンバーだけでしたが、 同じフロア内で働いている人たちとは、自然にコミュニケーションが生まれ、毎日様々な人と接するようになりました。

小さな会社と大きな会社は、1つの仕事に関わる人数が全く違います。 どちらが良いというわけではありませんが、 私が分析を依頼されるデータは、元々別の部署が管理している数値で、 また、私が分析して資料化したデータは、全く別の部署で使われたりします。 そうやって、1つの仕事をする上で、たくさんの人と、自然と協力関係になります。 データの数も、小さな会社とは規模が違います。 専用のシステムからデータを抽出し、それをアクセスやエクセルで集計します。 今まで小さな会社でしか働いたことがなかった私にとって、これはカルチャーショックでした。 そして、刺激的で楽しいものでした。

IT業界は新しくて伸び盛りな業界です。 会社は日々成長しているようでした。 儲かっているというのが、その場にいるだけで感じる事ができるほど活気もあります。 福利厚生も素晴らしいものでした。 社員が休憩するフリースペースには、ビリヤードがあり、 社員食堂は、まるでホテルのビュッフェのように広々とし、明るく、和洋中なんでも揃っていました。 ソファ席もあり、社員食堂とは全く思えません。 社員がちょっとした打ち合わせをするカフェもありました。 本格的なカフェで、飲み物の種類も豊富です。 社員向けのイベントで使われることもあるそうで、その時にはお酒も出ると聞きました。

テレビドラマに出てくるファッショナブルな会社の姿がそこにはありました。

その後、そのIT企業は派遣期間が終了したため、別の派遣先に移りました。 ここだけの話ですが、期間満了時に、契約社員にならないかとありがたいお言葉を戴いたのですが、 家から遠く、乗り継ぎも大変で、元々数か月間の短期ということで就業した派遣先だったので、お断りしました。

その後も継続的に同じ派遣会社から仕事を紹介され、様々な企業で就業させていただきましたが、 違う業種はもちろん、同じ業種でも、会社が変わるだけで中で働く人の特徴や、仕事の進め方が違うのだという事を実感する出来事を何度も経験しました。